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評論・エッセイ

先見日記 エネルギーという権力構造

 産油国という言葉のとおり、石油は特定のごく一部分の地域の地中にある。世界じゅうどこにでもある、というものではない。極端にそれは偏在している。だから石油というエネルギーに関して、原理的にもっとも強い権力を持っているのは産油国なのだが、その産油国を自在にコントロールしている国は、単なる産油国よりもはるかに強い。価格や安定供給のシステムなどを抑えていれば、それはそれだけで強大な権力となり、その国を頂点としたピラミッド状の権力構造を作る。ちなみにいまの日本は、このエネルギー権力ピラミッドの、底辺と言っていいあたりにいる。
 石…

『先見日記』二〇〇四年一月十三日