先見日記 物を作らなくなった日本
物が売れないから景気が悪い、と誰もが言っている。なぜ売れないのか。日常の物はひとまず間に合っているし、あまり高い物は買えない、それにぜひとも買いたいと思うほどに魅力的な物は、どこにも見当たらない。こんな状態が日本を覆っているのではないか。物作りの日本と言われたこの日本は、物をいまも盛んに作っているように見えて、じつは作っていないのではないか。
そんなことあるものか、という反論はさまざまに成り立つ。自動車を見ろ、携帯電話はどうか。大量に生産され広く普及しているではないか。これで物を作っていないとは、とうてい言えないはず…
『先見日記』二〇〇三年二月二十五日
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