そしてその他の物語 第25回
次の写真の素材となったペイパーバックは二年ほど前の秋だったか、雨模様の午後、吉祥寺の古書店で購入したものだ。店に入ってすぐ右側に安い均一価格の本を詰めた棚があり、そのなかにこのペイパーバックが一冊だけあった。一九三〇年代のザ・セントルイス・カーディナルズに在籍して活躍した、きわめて個性的だったベースボール・プレーヤーたちについて書かれた古典的な名作のペイパーバックが、つい二年前の吉祥寺の古書店で、二百円で売られていた。しかもそのペイパーバックはバンタム・ブックスという叢書の通し番号552の、一九四八年六月の版だ。経年で古びてはいるが…
『Free & Easy』二〇一二年八月号
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