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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

そしてその他の物語 第4回

 今年の夏、水鉄砲の収穫は十三丁だった。おなじものを二丁ずつ、あるいは色違いをすべて買ったりするから、数は多くなる。しかし種類は四種類だ。毎年、夏のあいだ、僕は水鉄砲を買う。今年はその数がやや多いような気がする。猛暑となんらかの関係があるだろうか。
 スーパーマーケットの二階、家庭用品売り場の片隅に、子供たちのために夏の玩具が集められていたりする。プラスティックで作ったピストルのかたちをした水鉄砲が、そのなかにかならずある。いまでも子供たちは水鉄砲で遊ぶのだろうか。雑貨店の前をとおりかかってふと見ると、店の外に出してある…

『Free & Easy』二〇一〇年十月号

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