その写真機を、ください 第二十回 ミノルタ・SR–7
二十代の前半に僕はミノルタの一眼レフを買った。ミノルタであることは確かなのだが、機種や使い勝手、機能などに関しては、なにひとつ記憶していない。露出計が内蔵されていたかどうか。もし内蔵されていたなら、計測値は撮影者に対してどのように表示されたか。フォーカシング・スクリーンの中央に、スプリットはあったかどうか。こんな基本的なことですら、僕は覚えていない。
ストロボをつけていたことを、先日やっと思い出した。シューにつけるストロボではなく、電池室の円筒の上に発光部が載っていたタイプだ。写真機のボディ底部にブラケットをつけ、左…
『ラピタ』一九九八年十月号
次の作品へ