その写真機を、ください 第一回 オリンパスOM–1
僕が初めて見たオリンパスの一眼レフ、OM–1は、高知市内のカメラ店のウインドーにあった。当時はカメラ店というものがまだ健在だった。きれいなかたちをした写真機だなあ、という第一印象を僕は持った。かたちのきれいなものに僕は基本的にたいへんひかれる。かたちのきれいなものは使い勝手が良く、したがって実用性能が高いからだ。
OM–1を僕は欲しいと思った。カメラ店の前をとおりかかるたびに、僕の視線はOM–1をとらえた。買えばいいというものでもないが、僕はOM–1を買った。モーター・ドライヴをつけて写真におさまっているのがそれだ。O…
『ラピタ』一九九七年三月号
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