片岡義男のぼくのお気に入り道具たち 青空の下でぼんやり寝ころびたいとき
広げると、横が184センチ、縦が90センチの大きな長方形だ。色は、きれいなグリーンだ。妙に渋くもないし、子供っぽい色でもない。マッサージのとき、マッサージをする人の両手の掌に、そしてマッサージを受ける人の肌に、それぞれフリクションがかかりやすいように、縦線と横線との簡単なパターンが、くりかえしで編みこんである。
このようなタオルを広げると、ぼくのような怠け者は、体をゆったりと横たえて全身から力を抜き、ひまねたをああでもない、こうでもないと、頭のなかでひねくりまわしながら、ぼんやりと空を見たりしたくなってくる。
『BE-PAL』一九八五年七月号