秋が深まりはじめたころから冬のなかばにかけての、山裾歩きはたいへんに楽しい。地元の農家で井戸の水をわけてもらうための水筒とシェラ・カップ、それに先月号のこのページに書いた小型のポケット・コンロを持ち、気に入った場所でコーヒーや紅茶をいれて飲みながら、心ゆくまで山裾を楽しむのだ。
　ポケット・コンロ用固型燃料に火をつける道具として、ウインド・プルーフのマッチあるいはジッポのオイル・ライターをぼくは持っていくのだが、ジッポ以外になにか素敵なオイル・ライターはないだろうかとふと思い、ライターの専門店へ行って見つけたのが、イム…

『BE-PAL』一九八三年五月号