1967年、僕はニューヨークで毎日毎日下町の貧しい人たちや、ホームレスの写真を撮っていた。ある夕方、重い足を引きずりながらヴィレッジ界隈を徘徊していて、ブリーカーストリートシネマという映画館の前を通りがかったら、なんと黒沢監督による『椿三十郎』を上映してるではないか。吸い込まれるように切符を買って入場、見終わってから久しぶりのチャンバラ劇に半ば興奮気味に映画館を出ようとした時、次回上映のカラフルなポスターが目に入った。『エンドレス・サマー』のポスターだった。サーフィンという、僕にとっては全く抽象的と言ってもいい世界に初めて触れた瞬間…