ロンサム・ジョッキー 23 星降る夜、彼女の船を見送った
アメリカ! 放浪の旅
★新しい風を求めて
岸壁に停泊している連絡船の横っ腹に、彼は手を触れてみた。
分厚くペンキを塗ってある鉄板は、すさまじい重量をたたえて、荒々しかった。見たところさほど大きくもない連絡船だが、こうして手を触れてみると、船というものの重さと大きさがわかる。
岸壁と船体とのあいだを、彼は、のぞいてみた。わずかなすきまがあり、夜の港の黒い海が、ゆれ動いていた。
手をはなし、船体を見上げてから、彼は彼女のところへ帰った。
乗船…
『ミスター・バイク』一九七八年三月号