フランス・ギャルのCDを三枚、続けて聴いてみた。フィリップスから市販された五枚のアルバムのうちの、最初からの三枚だ。最初の作品では四分の五拍子のジャズ曲である「パンス・ア・モア」が一番いい。このような曲に彼女の声そして歌いかたは、もっとも向いているように僕は感じた。「ジャズ・ア・ゴーゴー」という曲もある。伴奏のなかにフランス・ジャズの片鱗を聴く、という楽しみがある。
二枚目の作品には「夢見るシャンソン人形」が収録してある。この曲は僕でも知っている。ずいぶん流行したよね、とは言えるものの、それがいつのことだか、まるでわか…
『図書』二〇二一年十月号