片岡義男のアメリカノロジー 「気分はもう夏」とくれば無人島、そして進駐軍の携帯食だ。
ポパイ・ザ・セイラマンがマンガの主人公としてアメリカではじめて登場してきたときの、開口一番、まず最初のセリフを知っているだろうか。
水兵さん以外のなにものにも見えないようないでたちのポパイにむかって、通行人が、
「あなたは水兵さんですか」
と、きく。
この問いに対してポパイがこたえた、
「俺がカウボーイに見えるかよ」
というひと言が、彼の最初のセリフであったのだ。
とぼけていて、同時にちょっと突っ張ってもいる、なかなかいいセリフだ。ポパイ・…
『POPEYE』一九八〇年二月二十五日号