片岡義男のアメリカノロジー いつも潮に洗われているからなのか──とてもやさしい目をもつサーファーたちの話をしよう。
心やさしい、太ったサーファーがいた。
1959年から62年ごろにかけてのサーフィン映画、たとえば『スピニン・ボード』『ガン・ホー』『オーストラリアのサーフ』などを観るチャンスがあったら、ポリネシア系の丸々と肥った男が、たいへんなホットドッグをやったりボードの上できれいにポーズをきめたりするシーンを見るにちがいない。
この太った男は、ジェームズ・ミッチェルといい、チャビーあるいはチャブス(共に、デブという意味)の愛称でハワイのサーファーたちのあいだで広く知られていた名物男なのだ。ハワイを〝発見〟…
『POPEYE』一九七七年九月二十五日号