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書評

立体交差を無限に必要としている日本

『立体交差 ジャンクション』
大山顕著 本の雑誌社 二〇一九年

 カラー写真が紙に印刷してある。その紙は何枚も続く。印刷してある写真は、日本のいまやいたるところにある、鉄とコンクリートによる立体交差だ。紙は一冊に綴じてあり、写真集になっている。これぞ写真集と僕は確信して言う。写真集にしか出来ないことが、この一冊の写真集のなかでなされている。そのことに、心から驚く。
 高原を削り落とし、山にはトンネルを穿ち、低い土地には土を盛り、池もおなじく土で埋められて姿を消し、平らの土地がしばらく続…

『週刊朝日』二〇一九年九月十三日号

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