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評論・エッセイ

のっける気持ちはことのほか大きい

 プチプラ服、という言葉を友人に教えられたときには、感銘を覚えた。我が日本語もついにここまできたか、という感銘だ。
 プチと言うからにはフランス語なのだろう。小さい、という意味だ。プラはプライスという英語をカタカナ書きしたときの、前半分の二字だ。これをつなげてプチプラとし、そのあとに服という日本語をつけて、プチプラ服だ。小さなプライスの服、つまり安い服、という意味だが、安い服なんだけども安い服には見えないでしょう、という気持ちが乗っけてある。プチプリなら、個人的な口語としてフランスでつうじるかもしれない。
 即…

初出:『サンデー毎日』二〇一八年十二月二十三日号(「時代に翻弄されるコトバたち」6「省略されて合体させられたコトバの旋律」)
底本:『言葉の人生』左右社 二〇二一年

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