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評論・エッセイ

なぜいま一九五〇年代なのか

 ぼくは一九四〇年生まれだから、ぼくにとっての一九五〇年代は、ちょうど十歳から二〇歳までの期間であるのだ。この期間のことに関して、なぜいまになって、アメリカのがわから書くのか、その理由は、ごく単純でありきたりだ。この一九五〇年代に、ぼくというひとりのヒトの気質みたいなものが、ほぼできあがったか、あるいは、アメリカの一九五〇年代の歴史的な進行のなかから、ぼくの気質がなんらかのかたちでかなりのっぴきならない影響をうけてしまったように、いまになってやっと思えてきたからだ。
 アメリカの一九五〇年代のなかでおこったことがらのうち、…

初出:『10セントの意識革命』晶文社 一九七三年
底本:『10セントの意識革命』晶文社 二〇一五年改版(一九七三年初版)

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