「五月の朝 三人の歌を聴いた──なぜか曇り空」を公開
FM情報誌『FM fan』創刊10周年を記念し、1976年7月に発行された『別冊 FM fan』第10号(共同通信社)掲載の「五月の朝 三人の歌を聴いた──なぜか曇り空」を公開しました。アメリカの建国200年に合わせて組まれた特集「アメリカ音楽の200年」の中で発表された作品です。
ジョニ・ミッチェル『バラにおくる』
ジャニス・イアン『愛の回想録』
フィービ・スノウ『夜の調べ』
アメリカの若い女性シンガー゠ソングライター3人のLPを、5月の曇り空の日に聴いた。
3枚のLPは3枚とも、詩とエッセイの中間のようなものを、目だけではなく、全身で読んだような気にさせてくれる。音と言葉と心象との三角関係が、音楽・歌という空間のなかで、絶妙の均衡を保っている。アメリカ女性たちがつくった歌のレコードを聴くという行為は、いったい何なのだろうかと、ふと思う。歌声も含めて、音のすべてを全身で受けとめる行為を土台にして、そのうえに、なにを乗っければいいのだろう。
(『別冊 FM fan』第10号[1976年7月1日発行]掲載)
2025年6月13日 00:00 | 電子化計画