連作短編小説集『くわえ煙草とカレーライス』（河出書房新社／2018年）所収の表題作『くわえ煙草とカレーライス』を本日公開しました。

主人公はコミックスの原作ライターをしている西条昭彦と、彼の地元にあるいきつけのバーのホステス、藤代美佐子。ある日、商店街でばったりと出会った二人は喫茶店でコーヒーを飲みながら、そして夕食としてカツカレーを食べながら会話を重ねていく。その中で西条は美佐子をモデルとして、明日が締め切りのコミックのストーリーを書けないかを考えていく。昭和40年代初頭を背景とするこの物語は、この本に収録されている他の作品同様、小さな街を舞台とした登場人物たちの日々が、コーヒーとカレーライスのある風景を交えながら描かれていく。「ありふれた生活。なにげない時間。庶民の日常のなかを、さしたる起伏なしに流れていく時間。その時間のなかにこそ、物語がある」。

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