VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

リコー・XR6

 女性の脚がある光景の写真は銀座で撮った。歩道を歩いていたらこの光景が見えた。だから僕はそれを写真に撮った。西欧の白人女性の脚だと断定していい。見事な出来ばえの脚だ、と多くの人が思うはずだ。僕もそう思う。

 この一対の脚の出来ばえは、ひとりの女性の身体における造形の良さという幸運を越えて、西欧の価値観を体現する役を担っている。価値観を体現し、それを視覚的にごくわかりやすいイメージへと増幅する機能を、この一対の脚は過不足なく果たしている。
 西欧の価値観は日本の外のものであり、もしそれが日本の…

底本:『ラピタ』1998年8月号

このエントリーをはてなブックマークに追加