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書評

大問題を語り合えない日本語の閉塞感

〈書評〉滝浦真人著『日本語は親しさを伝えられるか』

 日本の人たちに深く浸透している出口のない閉塞感について、多くの人が語るのをこの数年しばしば目にする。しかし僕の記憶によれば、おなじような議論は一九六〇年代の初めからあった。じつに半世紀を越えて問題が存在しながら、いまもって出口が見えないとは、どういうことなのか。
 問題の核心は日本語という言葉にあるのではないか。あらゆる領域において、人々をかならずや閉塞させずにはおかない力を、日本語は内蔵しているのではないか。『日本語は親しさを伝えられる…

底本:『週刊朝日』2013年9月13日号

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