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評論・エッセイ

そこはスープの国だった

 アメリカにおける日常的な料理そして食事のなかで、スープは錬金術にも似た位置づけにあったのではないか。あったと過去形で書くのは、現在のアメリカではスープは箱や袋そして罐などに入り、食料品として最下層に定位置を見つけて、そこを動く気配のないものとなって久しいからだ。
 スープ罐となる肉の煮出し汁のストックからして、大きな鍋でぐつぐつと煮て肉のなかからエッセンスを抽出するのだから、その作業も様子も、そして出来上がったストックも、どこか確実に錬金術と重なり合う。

 
 そのストックに…

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