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評論・エッセイ

アロハ・シャツと小説の主題

 アロハ・シャツの小説を書いたら面白いにちがいない、と僕が思いついたのは十五年ほど前のことだ。ハワイのいくつかの博物館や大学の図書館をまわり、資料を検索してみた。手に入る資料は多くはなかった。シャツの現物はかなり残っているのだが、アロハ・シャツの歴史に関する正確な資料は少ない。
 ホノルルのダウンタウンで衣料品店を長く営んで来た人たちの多くが、高齢になろうとしていた。彼らから少しは昔の話を聞くことが出来た。アロハ・シャツを最初に作ったのは私だとか、私の父親だとか主張する人は多い。
 アロハおよびアロハ・シャ…

底本:『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社 1995年

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