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評論・エッセイ

吉永小百合の映画 『まぼろし探偵 地底人襲来』

この作品を見た僕は、まろやかに熟成したおだやかで温厚な展開のコメディとして受けとめた。作品ぜんたいに浸透している、まろやかな熟成の感触にはいわく言いがたいものがあり、これに接して僕の顔は微笑へとほころんだ。全編にくまなくいきわたっている感触は、44年間という時の経過のなかで僕がすっかり失った、1960年の日本との共生感ないしは同時代感にほかならない。

底本:『吉永小百合の映画』東京書籍 二〇〇四年

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