VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

貢献と支援と

二〇〇四年一月十五日(*日付については、「まえがき」参照)

「自衛隊に出来ることはある」と首相は言った。しかし、イラクに派遣された自衛隊にそこでなにが出来るのか、首相からの説明はいまもいっさいないままだ。首相から聞くことの出来た言葉は、イラク復興の人道支援、そして国際社会への貢献の、このふたつだけだった。戦争がいまも継続しているイラクという現場へ、戦後初めて、「実質的には軍隊」である自衛隊を送り出し、多国籍軍とおなじ地平に立ちおなじ危険を引き受けさせるにあたって、そのことぜんたいを支える言葉はこれだけしかない…

底本:『影の外に出る──日本、アメリカ、戦後の分岐点』NHK出版 二〇〇四年

このエントリーをはてなブックマークに追加