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小説

音楽のきこえる話 なみだ恋

雨が降る盛り場の夜。頰を撫でる風に、雨の香りがあった。黄色いタクシーから一人の若い女性が降りてきた。薬局に入った彼女は、濃紺のスーツを多少はお洒落な感じで着こみ、雨を見ながら鼻歌で演歌を歌う若い男に話しかける。

底本:『野性時代』一九七八年六月号

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