販促用の絵に描かれて、猫はたいへん幸福
広告のなかで、猫が重要な役を果たしていた時代というものが、アメリカの大衆史のなかに確実にある。広告は、人の目にとまらなければ、なんにもならない。広告のなかになにを用いたら目にとまりやすくなるのか、さまざまに試行錯誤した結果、猫というきわめて有効なアイ・キャッチャーを、昔の広告人は手に入れた。
底本:片岡義男エッセイ・コレクション『自分を語るアメリカ』太田出版 一九九五年
『本についての、僕の本』新潮社 一九八八年所収(『販促用の絵に描かれて、猫は幸福』として)