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評論・エッセイ

ある日の朝、彼が髭を剃っていたら

ハワイ。ある日の朝、起きて洗面室で髭を剃りながら、なにげなく窓の外を見ていたら、芝生のあちこちから、鮮やかな赤い流動的なものが、間歇的に何度も、地面から垂直に吹き出していた。溶岩流だ。急いで逃げ出した。夜、落ち着いてから、ポケットのなかの髭剃りとブラシに気づき、残した半分と伸びた分をひとりで剃った。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『僕が書いたあの島』太田出版 一九九五年

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