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評論・エッセイ

部屋までの長い道のり

一時間おきに三人の男性に、彼女は会ってきた。費やした時間は合計で三時間をすこしこえるだけなのだが、彼女にとっては長すぎるほどに長い時間だった。完全にぶちのめされた状態で、彼女は部屋のある建物の駐車場まで、帰ってきた。自分のステーション・ワゴンの運転席で、彼女は虚脱していた。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『「彼女」はグッド・デザイン』太田出版 一九九六年

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