『うしろ姿の設計図　3rd SHOT!』に登場する「彼女」は、東京の都心とも郊外ともつかない、曖昧な中間の繁華街の中心から、ふと脇道に入った、その奥に、いくつもの脇道が複雑に交錯して出来たような飲み屋街を見つけます。それは東京の繁華街にはどこにでもあるような飲み屋街なのかも知れませんが、まだ二十代半ばで、人生の半分を海外で暮らした彼女には初めての発見です。そして、そこは彼女が東京で初めて気に入った場所になりました。ある日、彼女は写真機を持って、友人とその飲み屋街に向かいます。自分のうしろ姿を撮るために。

底本：『Oggi』小学館　一九九九年七月