美しく大きな波で知られた島は、変わろうとしている。火力発電に伴うコンクリート桶の建設が、景観ばかりでなく、ついにはサーフそのものを消してしまう。抗いようもなく進行していくその流れは、誰が善で誰が悪という単純さを許さない過酷さで、かつて走っていた蒸気機関車の復活にも火をつける。島そのものが持つ歴史、そこに暮らす人々の知恵から生まれるそうした一連の動きが、ある時、一人の女性の身心を直撃する。それは慶賀すべきことであると同時にパニックに近い事態でもあり、やはり善悪の向こう側にある荒々しさに満ちている。