片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

エッセイ

風と紅茶の一日

 自分でブレンドした自分だけの紅茶を、ぼくはときたまつくる。つくり方は、簡単だ。くせのない、ごくスタンダードな味のするセイロン・ティーをベースに、そこへ自分の好みのものを加える。シナモンをこまかく砕いたもの。トロピカル・オレンジの皮を薄く削りとって乾燥させたもの。リンゴの皮をおなじく乾燥させ、こまかくきざんだもの。こんなものを、経験的に分量をはかりながら、加えていく。量のバランスを変えると、紅茶として飲むときの味が、微妙にちがってきて楽しい。
 香りを加えるために、ストロベリーやチェリーのエクストラクトを、ブレンドした紅…

底本:『コーヒーもう一杯』角川文庫 1980年

このエントリーをはてなブックマークに追加