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書評

猛烈に仕事をする人たちの国、アメリカと、父親を描いた数多くの小説

 アメリカの小説に関してとりとめなく考えをめぐらせていたら、ひとつのアイディアが浮かんだ。アメリカの父親小説の翻訳シリーズを作ると、それはたいへん面白いのではないかというアイディアだ。まず最初の試みとして、たとえば第二次大戦後から現代までの時代に書かれた作品のなかから、よく選んで三十冊ほど傑作を残し、それを全三十冊のアメリカ父親小説傑作シリーズとする。
 父親自身の一人称によって描かれていく、彼および彼の家族の物語があるだろうし、三人称でとらえた父親もあるだろう。息子の一人称による、彼と父親との関係の物語もあれば、父親と…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『本を読む人』太田出版 1995年

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