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評論・エッセイ

10月14日 手紙

 ぼくのアメリカ人の友人が仕事で日本にやって来て、半年ちかく滞在した。豊島園のちかくの、キャべツ畑のなかの安いアパートに入り、毎日ほんとうに元気に飛び歩いて、仕事をこなしていた。ぼくも彼も多忙な日がつづき、ゆっくり会うことがなかなかできなかった。ある日曜日、おたがいに半日以上の時間をとることができたので、ぼくは彼に会いにいった。秋たけなわの季節の、よく晴れた気持のいい日曜日だった。新聞記事用語で言うと、絶好の行楽日和とか、あるいは、またとない運動会日和、というような素敵な日曜日だ。
 私電の駅から自分のアパートまでの道順…

底本:『すでに遥か彼方かなた』角川文庫 一九八五年

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