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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

電車に乗れば英語の勉強

 平日の午後、いつもの私鉄の電車に乗る。空いている時間だから座席にすわり、ぼんやりしていると、車掌のアナウンスをなんとなく聞く。次の駅の名を告げたあと、「左側のドアが開きます」と彼は言う。続いて外国の女性による録音メッセージで、おなじ内容が繰り返される。彼女の最後のひと言は、The doors on the left side will open. というものだ。ドア、電車、あるいは車掌の意思により、「左側のドアが開くかもしれません」と、僕は理解する。このひと言を聞くたびに。日本人男性の車掌は、「左側のドアが開きます」と断言している。…

底本:『酒林』2018年9月号

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