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エッセイ

あの道がそう言った

白く輝く雲へ
 まだ梅雨だがその日は、梅雨明けの初日のように、素晴らしい晴天だった。小田急線の上りひと駅の下北沢で井の頭線に乗り換えて渋谷へ。朝のラッシュアワーの地下鉄銀座線浅草行きのプラットフォームでは、人々が三列にならんでいた。ひとつ次の電車ですわりたい人は、その右隣りの二列目に、そしてさらに次の電車に乗る人は、三列目にならんでいた。このような乗車のしかたを整列乗車と、一九六三年の六月にはすでに呼ばれていた。
 二列目の先頭から三人、つまり九人のなかに入っていれば、すわることが出来た。僕はいつもすわった…

底本:『JAF Mate』2017年5月号〜12月号

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