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評論

『山の音』

──失われた日本、消えた昭和。半世紀以上も前の映画に触発されて蘇る、淡い記憶の数々。
 一九三五年(昭和十年)に『乙女ごゝろ三人姉妹(きょうだい)』、そして一九五一年(昭和二十六年)には『舞姫』と、成瀬巳喜男は川端康成の小説を原作に得て二本の映画を作っている。一九五四年(昭和二十九年)に公開された『山の音』は、成瀬にとって三作目の、川端康成・原作の作品となった。映画化されたとき原作はまだ未完だった。だから映画としての物語の決着のしかたは、脚本を書いた水木洋子による創作だ。
 この時代に刊行された文芸作品の単…

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