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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

作家とはなにか

 日本の書き手によって小説が書かれるとき、ごく一般的に言って、舞台は日本そして時はいまとなる。過去を舞台にした物語でも、書き手はいまの日本の人なのだから視点はすべて現在にあり、したがって過去のことを題材にしてはいても、語られる物語じたいは現在のものだと思っていい。舞台を外国にしてもおなじことだ。
 いま日本で日本語を使って小説を書くと、そのなかに登場するのは、これもごく一般的に言って、日本語の男と日本語の女となる。そしてそれを読むのも、日本語の男女たちだ。日本語で書くのだからすべては日本語になる。一冊の小説のどのページを…

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