VOYAGER

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小説

いまはそれどころではない

イラストレーターになった青年と、高校時代の親友の母親。濃密になっていく二人の関係。

絵が自在に描ける青年たちと女性と建物の関係を様々な角度から描いた短編集『物のかたちのバラッド』の一編です。なので、この物語にも自然と絵が描けてしまったために会社をやめてイラストレーターになった青年が登場します。彼が出会うのは、高校時代の親友の母親ながら、姉にしか見えない美女。友人の母が、恋人になり、自分の家の別宅的に使っていたという、ヨーロッパの建築を模した祖師谷大蔵の家を舞台に、濃密になっていく二人の関係を通して、彼の恋人である美枝子という女性の姿が言葉によってスケッチされていくのです。

底本:『物のかたちのバラッド』アメーバブックス 2005年5月
初出:『物のかたちのバラッド』アメーバブックス 2005年5月