「日本の流行歌スターたち」というCDのシリーズの第十五番目が市丸だ。二十四曲が収録してある。一九三三年から一九五八年までの録音だ。
一九二八年にはヴィクターとコロンビアが創立されてレコードの時代が始まったという。レコードの時代とは、流行歌手の時代でもあった。中山晋平が自分の作ったメロディをレコードにしたのがこの同じ年だ。一九三〇年には古賀政男がデビューした。そして一九三一年には満州事変が始まった。
その一九三一年に、浅間温泉で芸者をしていた市丸は上京し、浅草の検番に入り、日比谷公会堂で『伊那節』を歌って…
『図書』二〇二二年二月号