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評論・エッセイ

片岡義男のぼくのお気に入り道具たち 朝のキャンプサイトの必需品 アーリーウインターズのフォールディング洗面器

「私、オートバイの免許をとることにきめたの」
 と、ある日のこと、彼女はぼくに宣言した。フロウズン・ダイキリをストローでつつきながら、これは二十四歳の私のかたい決意だと、彼女は言っていた。
「前祝いをしておこうか」
 と、ぼくは言ってみた。彼女は、首を左右に振った。とりあえず中型免許をめざすので、お祝いはうまく免許がとれたときにしてほしいと、彼女はこたえた。
 彼女は、普通免許をすでに持っていた。だから、うまく乗れる乗れないは別として、50㏄のオートバイなら、乗ってもいいのだった…

『BE-PAL』一九八三年十月号

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