ロンサム・ジョッキー 20 覚えてますか夏のこと
アメリカ! 放浪の旅
★新しい風を求めて
高速自動車道の走行車線から、追い越し車線を斜めに突っ切ってコンクリートの分離帯まで、黒々と急ブレーキのタイヤ跡がこすりこまれていた。分離帯の角は激突した自動車によって打ち砕かれ、コンクリートのかけらが分離帯に沿って散っていた。
分離帯には、ススキの穂が風にゆれていた。
ススキの穂の高さは、ライダーのちょうど肩のあたりだった。分離帯のススキごしに、むこうの上り車線のライダーが見えた。すれちがいざま右手をあげてあいさつしてくれた…
『ミスター・バイク』一九七七年十二月号