パッツィ・クラインのＣＤを三種類、購入した。すでに何枚も持っている。彼女が残した録音音源は、すべてそれらのＣＤのなかに、あるのではないか。しかし、資料的に編纂された三枚組のＣＤ、といったものは、かつてはなかった。ひと頃まではなく、いまはあるものを入手してみたくて、パッツィ・クラインのＣＤを三種類、購入してみた。
　そのひとつは、一九六〇年から一九六三年までの、デッカ・スタジオ・マスターズのコンプリート盤だった。二〇一〇年の製品だという。それ以前に、こういうものはなかった。もうひとつは七五曲のオリジナル録音を集めたアンソロ…

『図書』二〇二〇年五月号