片岡義男のアメリカノロジー ハレ・ラア・ブールヴァードにはジョークが似合いすぎる。
ブリガム・ヤング大学のハワイ・キャンパスに寄ったあと、モルモン教の寺院を久しぶりにながめて、ぼくたちはカメハメハ・ハイウェイまでもどっていった。
ロータリーに向かってまっすぐにくだっていくと、ハレ・ラア・ブールヴァード、と道路の名前が出ている小さな標識が、ゆっくりとぼくたちの乗った自動車の後方へ去っていった。
「ハレ・ラアとは、聖なる家、という意味だよ」
と、運転席の友人が言って、笑った。ハレは家、そしてラアは、聖なる、というような意味だ。そのくらいは、ぼくでも知っている。
「寺院…
『POPEYE』一九八五年一月二十五日号