片岡義男のアメリカノロジー 《兵隊文庫》と『ザ・ホワイト・アルバム』 アメリカを見ぬくための2つの活字メディアの話をしよう。
アメリカのさまざまなメディアをとおして日本人がアメリカに触れる、というかたちでの文化交流の歴史が、いまでもつづいている。この歴史を昔にむかってさかのぼっていくと、ひとつの画期的な出米事として、太平洋戦争の敗戦にぶつかる。
かつて、アメリカと日本は、戦争をしていた。日本が勝ったのではなく、アメリカが勝つことによってこの戦争が終ったのが、昭和20年。いまからじつに34年も以前のことだ。
アメリカのメディアをとおして日本人がアメリカの文化に触れていくという歴史はもちろん戦前からあったのだが、太平洋戦争の終結は、…
『POPEYE』一九七九年十二月十日号