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評論・エッセイ

アメリカに生きる彼女たち 一九六〇年代 家庭という堅牢な枠のなかで

1 家庭のなかの彼女

 アメリカでは女性たちは最初から主役だった、と僕は先の章「一九五〇年代 徹底して現実の半分だけを」で書いた。アメリカでの彼女たちは、不当な抑圧はされていなかったし、おとしめられてもいなかった。すべての人がそうあるべきであるように、彼女たちもまた、確立された個の上に、アメリカ的な自由と民主をきわめてアメリカ的に体現しつつ、主役を務めて来た、と僕は書いた。
 これは確かな事実だが、その事実は、ひとつの堅牢な枠の内部での出来事である、ということについてこの章では書いておこう。その堅…

底本:『アメリカに生きる彼女たち──一九四九〜一九九五 雑誌広告に見るアメリカ女性像』(第3章)研究社出版 一九九五年

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