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今日は口数がおおい(その2)|12月は「片岡義男 Boot up 1」を

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「片岡義男 Boot up 1」を発売しました。

昨年末にはテーマによるボックスを4つ発売しましたが、今回の片岡義男 Boot up 1には収録作品を貫くテーマは特にありません。小説を発表された年代の順に一作づつ分割して公開・発売してきたわけですが、小説には違いないながら、短いものがいくつかあったのでした。長編にそれらを加えてのお得な一冊です。

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収録作品ドアの遠近法|信号を左折する|永久緑色|朝食を作るにあたって|あの少年の妹|

最初に置かれた作品「ドアの遠近法」は長編ですが、そのなかには登場人物が書いたという設定のいくつかの短編が魅力的に配置されています。小説を書くことに関する小説は何度も繰り返される片岡さんの重要なテーマのひとつだということを改めて思い出します。

もっとも不思議なタイトルは、最後に置かれた「あの少年の妹」ではないでしょうか。主人公の妹の兄である「あの少年」の名前はホールデンであることがストーリーの最後のほうで明かされます。そう、兄はサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の主人公です。「あの少年の妹」はホールデンの妹のフィービーが中年の美しい女性となり、なぜか東京で暮らしているという設定です。季節も「ライ麦畑でつかまえて」の最後とおなじ、クリスマスと大晦日のあいだの夕方というのも偶然ではありません片岡さんはいつも小説の材料はすべて自分の外にあると言うのですが、この短い作品にはそのことの真髄があると感じます。

サリンジャーつながりで思い出すのは、片岡さんのペンネームがかつて「テディ片岡」だったことです。テディはサリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」の最後の「テディ」からとったということです。最近ではそのいきさつがコーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。にちゃんと書かれています。

八巻美恵@編集部

年末☆新春「片岡義男 Boot up」新刊連続発売の詳細はこちら2016-12-15c-ky-sub

2016年12月22日 05:37