No.4|石田千「彼らと愉快に過ごす」
【ひとが生きるうえで大切なこと】
北村君の部屋から、枝ぶりのいい柿の木が見える。一年ごとに、実がなる。
うちはマンション住まいだったから、磨きこまれた木の階段を、とんとんのぼっていくのがめずらしかった。
小学校の五、六年と中学校の一、二年の同級生で、高校、大学は別になった。それでも、近所だから、長い休みに入ると遊びにいって、あれこれ話す。うまがあうので、それぞれ恋人ができても変わらなかった。
片岡義男さんの本は、北村君から借りるたび、手元に置きたくなって買…
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