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片岡義男.com 全著作電子化計画

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『ぼくは片岡さんが大好き』二台欲しいのです

『ぼくは片岡さんが大好き』二台欲しいのです

2024年10月9日 00:00

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1冊の本が出来上がるまでには多くの人が関わります。とりわけ編集者は、本の形すら見えていない段階から常に作家の近くに寄り添い、共にゴールを目指す同志とも言える存在でしょう。そして、その作家についてもっともよく知っているのが編集者、とも言えるのではないでしょうか。この連載では、片岡義男の4作品を世に出し、ここ数年を片岡との二人三脚で歩んできた編集者・篠原恒木さんに実際に見た・聞いた「片岡義男についてのさまざまなエピソード」を語っていただきます。篠原さんの手によるイラストと共にお楽しみください。

◆ 著者紹介

篠原恒木
篠原恒木(しのはらつねき)

女性月刊誌『JJ』(光文社)元編集長、出版物の宣伝統括などを担う。片岡義男の編集担当としてこれまで4作品を世に出す。特に『珈琲が呼ぶ』(2018)は刊行当時、珈琲ブームの火種ともなった。この他、片岡自身が物書きから作家としてデビューするまでを綴った『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。』(2016)、片岡義男が愛する3組のミュージシャン、ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーの映像に関するエッセイ集『彼らを書く』(2000)と話題作を送り出す。最新刊は『珈琲が呼ぶ』の続編とも言える『僕は珈琲』(2023)。片岡義男.comでは『彼らを書く』のスピンオフとも言える『僕も彼らを書く』、そして『ロックを再生する』を連載。

◆ 著者よりひとこと

 今回から、片岡義男さんについて僕の知っていることを書かせていただきます。よく「素顔」という言葉がイディオムのように使われますが、この文章は「片岡義男さんの素顔」ではありません。「素顔」というフレーズはなんだかとても胡散臭いですよね。僕も「僕自身の素顔」なんて自分でもよく分かっていませんから。
 ですから、この短い文章は「片岡義男さんに関するエピソードのほんの一部分」です。タイトルは片岡さんの名著からいただきました。僕の気持ちを端的に表すなら、このタイトルしか有り得ませんので。
 片岡さんの作品を愛する皆さまに楽しんでいただければ幸いです。

◆ 最新刊(2024/10/9公開)

第三十九回『二台欲しいのです』
第三十九回『二台欲しいのです』

片岡義男が少年時代に広島原爆の「光」を見た、という話は多くの方がご存知でしょう。ある日、片岡から篠原さんに「広電(広島電鉄)の模型を2台欲しい」という連絡が入ります。広島に原爆が投下された時、市内を走っていた広電の車両も被爆しましたが、そのうち、650形651号・652号の2両はその後も走り続け、“ヒロシマ復興のシンボル”とも言われました。その後改修され今も現役として走っていますが、片岡が欲しいのはこの車両の模型でした。しかしこの模型は広島電鉄だけでの限定販売。現地に行かないと購入できません。それにしてもなぜ2台なのか……。怪訝に思いながらも篠原さんは購入へと動き出します。→ 作品を読む