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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

ブルシット、という言葉の存在理由

 朝鮮戦争を背景にした、アメリカの新兵ないしはごく若い兵士たちの映画について、僕は思った。思うための材料は多くない。『零号作戦』に『トコリの橋』しか思い浮かばない。朝鮮戦争を題材にして製作されたアメリカ映画は、そもそも数が少なかったのかもしれない。あるいは、僕が見た数が少ないのか。ポークチョップ・ヒルは映画になっただろうか。
 少ない材料の最後の部分に『マッシュ』が大きくある。映画館で僕がこの作品を見たのは、ヴェトナム戦争での戦傷者が十三万七千人ほどに達し、朝鮮戦争のそれを上まわったという、一九六八年の四月頃だった。だから…

底本:『音楽を聴く2──映画。グレン・ミラー。そして神保町の頃』(第一部 ミシシッピー河の鉄橋を列車が渡っていく)東京書籍 二〇〇一年

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