VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

ブルースが聴こえる

 ミシシッピー河にかかる鉄橋を、蒸気機関車の牽引する何輛かの客車が越えていく。一九四五年の五月の終わり近く、あるいは六月の初め、という設定の光景だ。河や鉄橋は巧みに作ったディオラマ、そして列車は模型かなと、僕は思った。しかし光景は現実、そして機関車と客車は、この時代に実際にここを走っていたものを使用したという。
 この光景に「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」の歌が重なる。歌っているのはパット・スズキではないか! たいへんに雰囲気のある歌いかただ。そのことに起因する大きな効果が、画面ぜんたいに確実に生まれている。どのような効果なのか…

このエントリーをはてなブックマークに追加